「僕はどうすればいいんだ」


                  俯いて話す貴方が、悲しくて。
                  わたしの好きな貴方が、悲しくて。


                  「セシルの、本当の気持ちを、伝えてあげて」
                  辛うじて出てきた、その言葉に笑顔で。
                  「偽ったりしたら、悲しむよ?」
                  その偽りをしている自分が、ここに居るのに。
                  「ふたりとも、セシルの幸せを願ってるのと思うの」
                  わたしも、と心の中で付け足して。
                  大丈夫、と彼に囁く。


                  「ああ。・・そうだな、ありがとうリディア」
                  「ううん、セシルのことは、誰より私が応援するからね!」
                  えへへ、と笑って彼を見送る。
                  ずきずきと痛むこの胸は何なんだろう。


                  「ちゃんと伝えてみるよ。リディア、君のおかげだ」
                  それ以上、わたしに感謝なんてしちゃダメ。
                  優しく笑う貴方が、好きになってしまうから。


                  「じゃあ、おやすみ。遅くにすまなかった」
                  「ううん、じゃあ、お幸せにね」
                  そう言って逃げるように彼の部屋から飛び出した。
                  そういう時に限って、
                  貴方がわたしを守ってくれた日のことを鮮明に思い出してしまう。


                  わたしはどうすればいいの?
                  涙が、こぼれては床に染みになっていく。


                  ヒトリの部屋の絨毯に広がる染みが増えるばかり。
                  「ねえ、ポーチカ。私、どうすればいいのかな」
                  きゅう?と不思議そうにこちらを見て鳴くポーチカ。
                  「どうすればいいのかな・・」
                  わたしが笑いかけると、ポーチカは悲しそうな顔をして
                  きゅうきゅう、と悲しそうに泣き出した。


                  「ごめんね、辛い思いをさせちゃったね」
                  ふたりでポロポロ零れ落ちる涙をぬぐう。
                  すると、すっとポーチカは消えてしまった。


                  「ポーチカ?」
                  誰もいなくなったヒトリの部屋は寂しかった。
                  しばらくの静寂に、耐え切れなくなったようにトントンとノックの音が響いた。




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