「(う、やっぱり僕変な格好なんじゃないのかな…)」
                  大体、髪につけているこの花飾りのついた櫛だって女々しいよ。
                  と、セシルはひとり心の中にそうおもう。


                  「や、あ。ふたりとも」
                  おずおずと声をかけられた二人組が、振り返る。
                  「セシル・・!とってもキレイね!」


                  ローザは満面の笑みを浮かべて、セシルの手をとる。
                  「行きましょ、もうお祭り始まってるわよ」
                  「ああ、王に直々に頼まれたんだ。楽しむほかないだろう」
                  カインもフッと、笑うと、手を引っ張られるセシルの横に並ぶ。


                  すっかり日が暮れ、夜の星空に城下町はまだ明るかった。
                  賑やかな音楽が流れ、人々の声があちらこちらから聞こえる。
                  城下町には、普段見かけない露天がたくさん出ていて
                  どの店にもたくさん人が寄っているようだった。
                  「このふわふわしてるのは、雲みたいだな」


                  その発言に気づいたように、面をつけた店主は答える。
                  「これは綿菓子と言うんだ。よかったら買うかい?100ギルだよ」
                  「うーん、どうしよう・・・」
                  セシルが決断に迷っていると、その横からひょいと手が出た。
                  チャリン、と硬貨の音がその手の中で鳴る。


                  「親父、1個だ」
                  金髪の髪が、風にたゆたう。
                  「あいよ!」
                  へっ、とぼけーっとした顔のセシルがその人物の顔を捉えた。
                  「カイン!」
                  「ほら、ワタガシ」
                  すっと、差し出されたその棒を受け取る。


                  まるで、棒につきさされた雲のようにふわりとしていて
                  風になびけば、飛んでいきそうなお菓子。
                  「あ、ありがと・・」
                  「あら、いいわねーセシル。おじさん、私も同じの頂戴な」
                  ローザは笑顔で、そう露天売りの店主に尋ねる。
                  「お、おうよ!ほれ、100ギルだ」




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