「僕のは、水色だ。カインはどんなユカタを貰ったの?」
                  「俺は、ふたりのものとは少し違うようだな」
                  そう言ってカインが見せたのは、縦にラインのはいったグレーのユカタ。
                  「本当だ、でもカインに合うよきっと」
                  セシルの眩しい笑顔が、そう言った。


                  それから数日後、城下町はお祭りムードにすっかり包まれていた。
                  まだ早朝なのにもかかわらず、
                  人々は張り切って祭りの準備に取り掛かっていた。


                  さまざまな飾りつけは、色とりどりで美しかった。
                  「これは夜になると盛り上がりそうですね・・・」
                  「ああ、なにやら音楽を使用したイベントもあるらしいぞ」
                  城下の人々がそう慌しく準備に勤しんでいるうちに、日はどんどん暮れてゆく。


                  日も暮れかけ、オレンジと紫のコントラストが美しいバルコニーに
                  カインとローザはいた。
                  「風が心地いいわね、このユカタは」
                  クリーム色の髪に、よく映える花柄のユカタはローザ。
                  「ああ、それに質素で堅苦しくないな」


                  カインは、束ねた金色の髪によく合う少し青いグレーのユカタ。
                  「それにしてもセシル、遅いわね」
                  「着るのに時間がかかっているんだろう」
                  夕焼けの風を、心地よさそうにセシルを待つ二人組。
                  その姿は、美男美女、と侍女たちに口々に囁かれていた。


                  一方、セシルは人前に出るのを躊躇っていた。
                  「ね、ねえ。これ、変じゃないかな・・・?」
                  セシルがそう、躊躇いながら着付けを手伝った侍女に尋ねた。
                  「そんなことないですよ、セシル様にとてもよくお似合いだと思います」
                  さらり、とその侍女は純粋な笑顔で答えた。
                  「そう、かなぁ・・ありがとう」
                  そう言うと胸の中にまだわだかまりを残しまま、セシルは扉の外へ向かった。


                  ガチャリ、と扉を開いて、セシルは待ち合わせの場所に向かう。
                  一歩一歩、ユカタにあわせてそろえて貰った履物、下駄の音が
                  その衣装とは不釣合いで、対照的と言った廊下に響き渡る。
                  カツン、コツン…と音が鳴るたび、すれ違いざまの人々がセシルを振り向く。




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